すずまろ物語

⑧はじめまして!すずです!

検査を終えて

 血液検査で感染症が陰性であると証明されたすずは、家に帰ると晴れてケージ生活を卒業できる!と思いきや、なかなかすぐにとはいきませんでした。理由は二つありました。

 一つ目は、先住猫達と体格差がありすぎることです。二歳の雄であるあおは体重でいうとすずの約6倍程ありました。仲良く遊んでくれていれば全く問題ないのですが、ひとたび喧嘩になればすずに勝てる見込みはありません。激しい喧嘩になると骨折のリスクも考えられます。あおもこはるも基本的には穏やかな性格なのであまり心配はしていませんでしたが、喧嘩が起きないかどうかボク達は目を光らせていました。

 二つ目は、すずがトイレをしっかりと覚えていないことでした。元気に成長したすずは、以前のように肛門を刺激しなくても排泄できるようになっていました。しかし、ケージの中に設置していたすず専用トイレで排泄していることは非常に少なく、寒くないようにとケージに敷いていたタオルの上で漏らしていることがほとんどでした。すずが“排泄をしそうなモーション”に入っていることに気付けば、慌ててすずを掴んでトイレの上に置くという荒業でトイレの位置を覚えてもらうようにしていました。

 

 排泄はフローリングの上であれば拭くだけで済みますが、絨毯マット等の上でされてしまうと大変なので、これまたボク達は感覚を研ぎ澄ませてすずの様子を窺っていました。

 この二つの理由から、最初のうちは仕事で家を空ける時や夜眠る時はすずにはケージの中で仕方なく過ごしてもらっていました。ケージに戻されると「ニャー!ニャー!」と不服そうに鳴くすずでした。

はじめまして!すずです!

 ケージ越しでは無い状態で、あおとこはるに初めて対面させました。あおはすずに興味を持って寄ってきました。すずはあおが寄ってきた時、自分より何倍も大きい猫が近付いてくるので最初はびっくりして動けずにいました。あおも本質は臆病な子なので、すずを何度か嗅いだ後すぐに何処かへ行ってしまいました。

 こはるは同じ雌同士でしかわからない彼女たちの中で感じる“何か”が邪魔をしているのか、最初は警戒するように遠くで見ていました。あおと対面した時は動けずにいたすずでしたが、徐々に環境に慣れていき自分からあおやこはるに近付いていくようになりました。しかし、こはるはすずが近付こうものなら、「フシャァ!」と恐い顔で威嚇しました。すずも威嚇されたことに気付き、小さな体ながら尻尾をピンと立てて警戒し一定の距離を取っていました。ボク達もこはるとすずが近くにいた時は喧嘩が起こるかもしれないと目を離さないようにしていました。

 今思い返すと、雌同士で神経質なのか、こはるのジェラシーなのか、理由はわかりませんが、この二匹は最後まで仲良くなることはなかったなあと思います。

 このような様子で最初の挨拶こそあまり上手くいったとは言えないすずでしたが、猫は皆、最初はそういうものです。あおとは徐々に距離を詰めていましたし、何より部屋中を自由に歩いてるすずが嬉しそうに見えたので、彼女の猫生はようやく軌道に乗ったように感じました。

キレイ好きのすず

 トイレトレーニングの甲斐があり、すずがトイレで排泄してくれるようになりました。

 猫じゃらしで遊んでいたのにピタッと遊ぶのを止め、おもむろにケージの方に向かって歩いていくので「どうしたどうした?」と後ろをついていきました。すると、そのままトイレに座り込み、“排泄をしそうなモーション”に入ったのです。ボクは驚いて、思わずスマートフォンで動画を撮り始めました。排泄するシーンなんてものは動画を撮るものではありませんが、ボクの脳内では前述したウンチローリング等がフラッシュバックされていたため、成長が嬉しくて胸がいっぱいだったのです。

 

 用を足し終わったすずは排泄物にしっかりと砂をかけました。「キレイ好きなんやな、というか、砂をちゃんとかけるなんて何処で覚えたの?」とボクは感激していました。

 「完璧!えらい!」と頭を撫でてあげましたが、何を褒められているのかわかっていない様子でした。嬉しくて、仕事から帰ってきた妻に直ぐに報告したことを覚えています。妻も「偉いね〜!」と言いながら、すずを撫でていました。1日に2度も何故褒められたのか、褒められていることすらわかっていなさそうなすずでしたが、この日を境にトイレで排泄してくれるようになりました。

 ミルクもしっかり飲み、トイレもちゃんとできて、走れるようになるまで体力が付き、保護して間もない頃と比べると見違える程に成長したすずは更にまた次の局面を迎えます。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA