すずまろ物語

⑩凶暴?甘えん坊?

凶暴?甘えん坊?

 すずは撫でたり抱っこしたりしようものなら「にぃあー!!」と憤り、前脚攻撃、噛み付き攻撃をしてくるようになりました。力が弱いことと上の歯が無いことでボク達が受けるダメージは微々たるものでしたが、せっかく愛でたいのにすずが怒るためなかなか愛でることができませんでした。

 ボク達だけではなく、あおやこはるにも突っ掛かります。あおは大人の対応で、最初は鬱陶しそうにいなし、すずがエスカレートすると最終的にはすずの頭を前脚で押さえつけて捻じ伏せていました。こはるは雌同士ということもあるのか、怒りの連続猫パンチですずを撃退していました。

 

 この時からすずが先住猫に攻撃を仕掛けている所を見かけると「すーちゃん!仲良くしないと駄目でしょ!」と言って叱るようにはしていました。しかし、起きている間は好戦的なすずで、何処で育て方を間違ったのだろうかと頭を抱えたものです。

 「凶暴」なすずでしたが、「甘えん坊」な一面もありました。その一面は眠る時に見られました。すずが遊び疲れて眠る時、ボクや妻の体の上にヨジヨジと登り、何故かボク達の体の上で眠るのでした。

 眠っている時は頭を撫でても、背中を擦っても攻撃してくることはなく、スヤスヤと心地良さそうにしていました。ボク達の体温が温かくて気持ち良かったのかもしれません。

 すずが眠っている間はボク達も動けないので少々困りました。しかし、“猫最優先”が家法である我が家では、家事をお願いされた時にタイミング良くすずが体の上で眠っていると「今すずが寝てるから無理ー!」と言って家事を回避することができました。

 すずは起きている時は悪魔、眠っている時は天使で、家族の中で一番小さいのにボクと妻を一番振り回す存在なのでした。

初めてのすずへのプレゼント

 起きていると凶暴なすずは、活動的でもありました。まだまだ走るのは下手くそでしたが、部屋中を駆け回っていました。タッタッターと駆け、途中で何かを見つけてジーッと見た後、何をするでもなくまた駆け出す。時には視界に入った観葉植物に攻撃をするなど、触れるもの皆傷つける思春期のすずでした。

 

 部屋中を駆け回るすずに困ることがありました。それはちょっと目を離した隙に何処へ行ったかわからなくなることです。ひょっこり出て来てくれれば良いのですが、ソファの下に隠れていたり、テーブルの下にいたりすると見つけるのが一苦労でした。

 また、背後からすずが寄ってきている事に気付かず、踏んでしまいそうになりヒヤッとすることもありました。すずの全高はボク達の踝程度しかありませんでしたので、振り向いた時には視界に入らないのです。

 これは問題だと妻と話し合い、すずに鈴の付いた首輪をプレゼントしてあげることにしました。鈴の音が鳴っていれば、どの辺りにいるのか、離れていったのか近付いてきているのかがわかるからです。

 早速、近くのペットショップへ車を走らせました。しかし、まだまだ小さいすずにサイズが合う首輪がなかなか見つかりませんでした。何店舗か巡りましたが、結局、ジャストフィットしそうな首輪が見つからなかったため、逆に大きいサイズを購入し、すずの首に二廻しして(二重にして)巻くことにしました。

 帰宅し、すずの首に取り付けようとしますが、フゥーフゥーフガフガと鼻息荒く抵抗してくるので、ボクが両手で体を抑えているうちに妻が手早く取り付けました。

 妻は「よく似合うね!お兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒だね!」と言って撫でてあげていました。勿論、ボクは撫で終わるまですずを抑えていました。

 すずはスマイルな口元になっているので、首輪を付けて見上げる顔は何処か満足気でした。首輪を付けることによって、すずがどこにいるかがわかるようになりました。

寝室の話

 人間の赤ちゃんであればまだベッドの上で横になっていることしか出来ないであろう時期のすずは、動物なので当たり前ですが、四足でしっかりと立って、そして走り回ります。人間と動物の成長速度を比べても無意味かもしれませんが、それでもすずの成長速度には目を見張るものがありました。

 

 驚いた成長速度の話として「寝室の話」があります。

 ボクと妻は二階の寝室で眠るのですが、勿論、二階に上がるためには階段を使う必要があります。あおやこはるはボク達が二階に上がると付いてくるどころか追い越すように走って上がってきます。

 すずにとって階段は、一段の高さが体の倍程ありましたのでジャンプしないと階段を上がることができませんでした。すずがボク達が二階に上がるライミングで付いてくることはあまりありませんでしたが、でもきっと、本当はすずもボク達に付いて二階に上がって来たかったのだと思います。

 ある朝、「にゃー!」と下の階から聞こえるすずの鳴き声で起きることがありました。起き上がって階段まで行くと、三段目あたりですずがうろうろしており、目が合うや否や再び鳴きました。「頑張って階段を上がろうとしてるのかな?」と思い、少し様子を見ることにしました。

 すずは三段目で左右に行ったり来たり、ついに四段目へジャンプ、しかし若干距離が足りず三段目に落ちてしまう。三回目のトライでようやく四段目に上がる。

 こんなことを繰り返して少しずつ二階に近付いてきていました。その時は「まだまだ時間がかかりそうだな。」と思って眺めていました。

 おそらくボク達が見ていない間もあおやこはるに付いてまわったり、夜な夜なボク達が眠っている寝室に向かおうと階段で特訓をしたりしていたのかすずの身体能力が上がっていきます。

 階段トライを眺めてから、たった一週間後の朝。今度はフガフガという鼻息で目覚めました。目を開くとボクの顔の横に茶色の猫。最初は「こはるか。」と思いましたが、横にいたのはなんとすずでした。二階まで時間をかけて上がってきたのかと思いましたが、後で確認するとそうでは無く、あおとこはるに負けず劣らずのスピードで階段を上り下りしていました。

 試しにベッドの下にすずをおろしてみました。ベッドの高さはすずの五倍程あり、階段一段の比ではありません。しかし、すずはシュパッとジャンプしてベッドの上にひとっ飛びしました。ボクは「すごい!」と驚き、嬉しくなって何度もベッドの下におろしました。すずは何度もジャンプして上がってきました。その後、ボクが起きて階段を降りるとすずも付いて降りてきたのでした。

 たった一週間ですごい成長速度で、やはり動物は逞しいとすずと一緒に生活することで実感しました。そして、もっともっと成長して欲しいと強く思いました。このくらいの時から、離乳食も自ら食べ始めてくれるようになったのでした。

 

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