すずまろ物語

⑫こはる姉怖い。。あお兄大好き!

すず、初めての夏

 すず、初めての夏。2020年の夏も非常に暑かったです。本来であれば東京オリンピックで日本が、そして世界が大いに盛り上がっていたはずの夏でしたが、新型コロナウィルスでそれも叶わず、逆にどんよりとした空気が世界を覆っていました。感染のリスクはありながらも仕事は通常営業であったため、ボクは妻と三兄妹の生活のために灼熱の中、「焼け死ぬ〜。。。」と言いながらサラリーを稼ぎに外へ出ていました。

 打って変わって、三兄妹はクーラーの効いた快適な部屋で24時間生活をしていました。すずは時折、窓から外を見ていたので「なんだか暑そうだな。」くらいには感じていたかもしれません。家の庭木は春から夏にかけて日光を浴び続け、枝葉がどんどんと成長していました。そして、すずも植物に負けない速度で成長をしていました。

 夏と言えば、灼熱地獄から家に帰ったボクは、汗でクタクタになったYシャツを脱ぎ捨て、風呂へ直行、そして風呂から上がるとご褒美にキンキンに冷えたビールを飲むというのが一連の流れになっていました。その数年変わらない流れに、すずが追加されました。

 灼熱地獄からクーラーの効いた家にドアを開けて入ると、すずが迎えに来てくれます。「気持ち悪い〜」と言いながらYシャツを脱ぐ様子をすずが不思議そうに眺めます。入浴を終えてビールを飲む頃には、キャットタワーで遊び回るすずを見て、「お〜、けっこう上まで登れるようになったな!」と癒やされるという流れにマイナーチェンジしました。

 妻とダイニングテーブルで夕飯を食べながら、すずの成長について楽しく会話している時間も好きでした。大変な時期を二人で経験していることもあり、嬉しさから会話が弾んでいたことを覚えています。

 ボク達が食事をしているとすずもキャットタワーから降り、ダイニングテーブルの上に乗って寛ぎました。本来、テーブルの上に猫が乗ると叱るようにしています。しかし、夏場頃のすずには“よくぞここまで元気に育ってくれたねフィルター”がボクにも妻にもかかっており、特に叱ることもせず、逆に「すーちゃんも一緒にご飯食べたいんか?ん?」といった具合で親バカ丸出し状態でした。

 あおとこはるは面白くなかったかもしれません。人間のように末っ子が可愛がられて、上の子達が不貞腐れるのは猫も同じですね。

こはる姉怖い。。あお兄大好き!

 すずはあおとこはるに比べ、体格差こそありましたが、本人の中では先住猫2匹と同等のような姿勢でチョッカイをかけに行っていました。

 しかし、いつもこはるには「あっちいけ!」と言われているように猫パンチを喰らっていました。こはるから執拗に追いかけてイジめるということはありませんでしたが、すずが近付いてきたら追い返すといった具合です。

 すずもこはるに対して、苦手意識があったのか近付きはしますが、攻撃をすることはありませんでした。近付くだけ近付いて、追い返される。もしかすると仲良くなりたかったのかもしれません。

 対してあおにはよく攻撃をしかけていました。あおはいつも鬱陶しそうにしていました。適当にあしらいながらも、好きにさせるといった様子です。

 あおが怒ることもありました。キャットタワーのハンモックにすずが足を踏み入れた時です。猫は縄張り意識が強い生き物なので、「此処は俺のハンモックや!」と言っているように威嚇し、すずはあおに怒られてしました。

 

 しかし、あおが大好きなすずは諦めません。毎日のようにあおに近付いていました。ご飯もわざわざあおが食べているところにすずが頭を突っ込んで食べようとすることもありました。あおは手は出しませんでしたが、「ウゥ〜」と静かに唸っていました。そして、あおがようやく根負けする日が来ます。

 ある日、仕事から帰り、入浴を終えるとあおとすずが同じハンモックにすっぽりと入っていました。ボクと妻は「可愛い〜!!」と言いながら、スマートフォンのカメラで写真を取りまくりました。すずの満足そうな表情とあおの諦めたような表情が印象的でした。

 すずはボク達人間が撫でたり、抱っこしてもゴロゴロと喉を鳴らすことはありませんでした。むしろ怒っていました。しかし、ハンモックに入っているこの時はゴロゴロと喉を鳴らしていました。初めてすずが喉を鳴らしている所見た瞬間でした。

 「すず良かったね。お兄ちゃん(あお)ありがとうね。」という気持ちで胸がいっぱいになりました。こはるは下で「フンッ」という様子で見ていました。女心は難しく、三十路になった今でもよくわかりません。

すずへのプレゼントその2

 「ハンモックを一つ増やそう!」

 妻が言いました。猫が3匹いるのに、ハンモックが2つなのは可哀想だと言うのです。それもそうかと思い、早速ネット通販で購入。後からカスタマイズできるタイプのキャットタワーを買っていたことが功を奏しました。

 程なくしてハンモックが到着したので、早速、取り付けました。

 いの一番にすずがハンモックに入りました。ここは私の縄張りだと言わんばかりに体をハンモックに擦り付けていました。こういった時に、スマイルな口元は喜んでいるように見えるので、ボク達としても「買ってあげて良かったな」と思わせられ、ついつい財布の紐が緩くなるのでした。

 

 体の小さかったすずも、細身でしたが、脚が非常に長くなりあおとこはるに遜色無いほど動けるようになりました。おそらく、こはるよりも走るのは速くなっていたように思います。

 順風満帆に夏を過ごしておりましたが、幸せを脅かす魔の手が少しずつ近付いてきていることに、この時はまだ気付くこと由もありませんでした。

 

 

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